私は「教育国債」に賛成ですが、「こども保険」には反対です。
高等教育や基礎研究のために資金として「国債」を発行すること自体は、現在の財政法でも認められています。
そもそも「人」に投資をすることは、国家を守り、様々なインフラを建設することと同様に重要です。
教育は将来への投資であり、長期的・社会的な投資効果が期待できる、つまり「便益」が現在だけではなく「将来にわたって」「経済全体を豊かにすることができる」のであれば、国債発行が理にかなっています。
ここで、税財源に頼るのは大きな誤りです。
国債発行というと、「将来へのつけ回し」「財源の先送り」という反論があります。
しかし、人を育てる投資は、将来世代への借金の先送りではありません。
日本国民がが現在不足する教育財源を、国民全てがうすく広く負担することで、将来大きな見返りを生み出す「資産」になります。
教育国債は決して奇抜なアイディアではありません。
経済学者 高橋洋一氏は以下のように説きます。
「未来投資のための王道しかも、今の日本は、統合政府で見れば財政再建が終了したようなものである……ということは、裏返せば、マーケットでは国債不足になっているともいえる。
そのため、先日、日銀は買いオペではなく売りオペをせざるを得なくなった。東京市場をまともな金融市場とするためにも、一定量の国債は必要である。その意味からも、教育国債が望まれる。
教育国債を否定する人は、「負担の先送りになる」というが、逆に言えば税財源で行うことは親の世代にせびっているようなものだ。
教育国債は出世払いであり、後で働いて返すという方が潔い。これは受益者負担原則にもかなっている話でもあるのだ。」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51630?page=4
さらに高橋洋一氏は「こども保険」について痛烈に批判をしています。
以下高橋氏の記事より引用
まず「保険」の意味をはっきりさせよう。
保険とは、偶然に発生する事象(保険事故)に備えるために多数の者が保険料を出し、事象が発生した者に保険金を給付するものだ。
さて、自民党若手が提唱した「こども保険」であるが、こどもの保育・教育のためなので、この場合の偶発事象(保険事故)はこどもが生まれること、になるだろう。公的年金の加入者、つまり20歳から60歳までの現役世代の人がこの保険に加入し、子育てする人が保険給付を受け取る仕組みになるだろう。
となると、矛盾が出てくる。子育ての終わった現役世代の人には、偶発事象がまず起こりえない。これらの人は「こども保険」に入るメリットはなく、保険料を取られるだけになってしまう。
すると、被保険者はこれから子育てをする若い人にならざるを得ない。しかし、それでは保険にならない。一般的に、若い人の多くがこどもを持つからだ。仮に、そういう保険を作ると、こどものいない人に大きな保険料負担を強いることになってしまう。
本音を言えば子育て支援について税金を財源にしたいが、税金では世間の反発が起こるので、「保険料」に名前を変えて国民から徴収しよう…そういう意図があるのだろうが、バレバレである。
おそらく「保険」という名称にしたのは、日本人の保険好きを悪用したのだろう。これまでの保険会社の営業努力の賜物であるが、保険契約額対国民所得比をみると、日本は5倍程度であり、先進国の2倍程度と比べるとかなり大きく、日本人の保険好きは国民性なのだ。
では、保険という名称ではなく、「こども税」ならどうか。これは政策論としてはありえる。ただし、筆者の提唱する「教育国債」との比較で、どちらがいいかを有権者がしっかり見定める必要があろう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51630
以上のことから、私は教育国債に賛成し、こども保険に反対します。
自民党教育再生実行本部における議論において、だれが教育国債に賛成し、だれがこども保険を提唱しているのか、要注視です。
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