7月2日に須賀川市消防団は機能別消防団辞令交付式を行いました。
写真:マメタイムス 平成29年7月3日版
写真:あぶくま時報 平成29年7月3日版
発足団員の16名は元消防団の正副分団長経験者であり、エリアは中心市街地を担当する1分団管轄下となっています。
今回、辞令交付された機能別消防団員は、消防団の消防力強化のため導入された制度です。主に地元の分団管轄エリア内における「平日昼間の初期消火」ができる者で、「現役団員のサポート」として地域防災力の強化を図ります。
資格としては、上記の他に、「過去に消防団員としての経験が5年以上ある者」又は「これに準じる結果を有すると分団長が認める者」となっています。ちなみに定年は70歳で、身分は非常勤特別職地方公務員となり、報酬と出動手当が支給され、公務災害も保障されています。
この制度が導入された背景として、現在の消防団員の約8割がサラリーマンであるため、平日昼間の時間帯が「団員不在」、または「人員不足」になり、火災や災害における迅速な対応が困難であるとの問題が起きています。
特に中心市街地では、他の地域より「団員の人員不足」と「平日昼間の団員不在」の時間帯があり、現役消防団員や消防団OBから「消防団OBの活用」の声が多くありました。特に東日本大震災を契機に、地域防災力の向上はますます市民のニーズとして高まってきています。
こうした「現場の声」を受け、私も様々な調査と研究を行い、平成28年12月議会にて「機能別消防団員(特に消防団OB)について」と題して、一般質問を実施しました。
平成28年12月議会一般質問
2 地域の防災力について
(2)機能別消防団員(特に消防団OB)について
平成28年12月須賀川市議会議事録
http://urx.red/EtLc
市議会録画中継「地域の防災力について」
http://urx.red/EtLf
◆1番(渡辺康平)
次に、(2)機能別消防団員(特に消防団ОB)について伺います。
消防団は、地域防災体制の中核的存在として今後も大きな役割を果たすことが期待されておりますが、既に多くの方が御指摘のように団員数の減少という課題に直面しています。
まず初めに、団員の確保に関わる市の対応策を伺います。
◎生活環境部長(飛木孝久) ただいまの御質問にお答えをいたします。
団員の確保対策は、町内会(区)への団員選出の働きかけや事業所訪問による団員募集の案内、市職員に対する入団促進等を行っております。
また、消防団員ОBを対象とした機能別消防団員や女性消防団制度の導入について検討を進めているところであります。
◆1番(渡辺康平) 再質問を行います。
消防団員の充足率は年々全国的にも低下し、加えて被雇用者団員、サラリーマンの増加など団員数の確保のみならず、昼間における活動団員の確保も大きな課題となっております。こうした状況は、本市だけではなく日本全国の地方自治体で起きている課題です。
そこで、機能別消防団員という制度について伺います。
本市には現役消防団を退いた消防団ОBの方々が多数おります。地域によっては消防団ОBの有志の会があり、防災意識の非常に高い方々です。
しかし、正式に機能別消防団員として組織化されてはおりません。地域の防災力向上のためにも消防団ОBを採用した機能別消防団員を地域防災のリーダーとして組織化していく必要性があると考えますが、市の見解を伺います。
◎生活環境部長(飛木孝久) ただいまの御質問にお答えをいたします。
消防団及び自主防災組織が地域防災の要として組織化されており、消防団ОBは消防団と連携、支援する役割であると考えております。
◆1番(渡辺康平) 提言であります。
(一部略)
そこで、DIGやHUGを開催する際には、まずは消防団ОBの方を中心に開催してみてはいかがでしょうか。地域の防災力向上のためには形式的な自主防災組織を実効性のある自主防災組織に変えていかなければなりません。そのためには、地域防災の人材資源である消防団ОBの機能別消防団を創設し、自主防災組織を導く存在であってもよいのではないでしょうか。以上のことを提言し、次の質問に移ります。
一般質問時の録画中継切り抜き
ここで、市当局から、
「消防団員ОBを対象とした機能別消防団員や女性消防団制度の導入について検討」
さらに、
「消防団及び自主防災組織が地域防災の要として組織化されており、消防団ОBは消防団と連携、支援する役割であると考えている」
という答弁を引き出すことが出来ました。
その後、本年6月議会において「須賀川市消防団条例の一部を改正する条例」が議案として議会に提出され、6月22日に本会議にて可決採択となり、7月2日の辞令交付式に至りました。
写真:6月に提出された議案書
現役消防団員や消防団OBの声を、議会から一般質問で代弁することで市条例改正の「後押しを」することができました。
※あくまで「後押し」であり、私が議員提出条例として作成したわけではありません。
機能別消防団員制度は消防団OBだけではなく、防災先進自治体である愛媛県松山市では「事業所消防団員」、「郵政消防団員」、「大学生防災サポーター」という三つの機能別消防団員を導入しています。
松山市消防協会ホームページ
http://www.matsu-syokyou119.gr.jp/outline/kinoubetsu.html
須賀川市ではまだ消防団OBの機能別消防団員制度がスタートしたばかりです。今後は制度の進捗状況を確認しつつ、問題点を聞き出しながら、さらに次の新たな制度導入に向けて一般質問をしていきたいと考えています。
「危機管理の基本は、悲観的に準備し、楽観的に対処すること」
佐々淳行先生(元内閣安全保障室長)の言葉を胸に、これからも故郷須賀川の防災力向上にむけて頑張ります!
平成25年11月4日に国家基本問題研究所の講演会にて佐々先生とツーショット
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