危機管理の観点から、自民党総裁を一日も早く決定すべきです。
その理由は3つあります。
その1、安全保障上の観点
8月28日及び30日、日本海及び東シナ海において、領空侵犯のおそれのある航空機に対し、航空自衛隊 の中部航空方面隊等の戦闘機が緊急発進し、対応を行いました。

この領空侵犯の恐れのある航空機ですが、28日の安倍総理が辞任表明前後に来ています。周辺国の狙いを考えると、日本の防衛体制を確認する、または揺さぶりをかける意図があるかもしれません。
現職総理大臣が難病により辞任を表明したことで、周辺国はチャンスと捉えて、必ず軍事的な揺さぶりを仕掛けてきます。
特に、尖閣周辺における「グレーゾーン事態」が発生すれば、総理大臣の決断が必要になります。グレーゾーン事態とは、自衛隊に防衛出動が命じられる「有事」とまでは言えないが、治安維持を担う海上保安庁や警察だけでは対応しきれない事態を指します。

領海侵入の中国船2隻が漁船に接近 海保が間に入り安全確保 尖閣周辺
もし、現時点で、尖閣諸島に武装漁民が上陸する事態などが発生した場合、既に辞意を表明した総理大臣が決断する事になります。
私が周辺国の指導者なら、日本の権力空白期を突くでしょう。
ロシア、中国は過去に東日本大震災直後、日本領空に航空機を近接させ、我が国の安全保障体制を揺さぶりをかけました。ロシア軍用機と中国軍用機が日本領空に接近する回数が、昨年4月から今年3月にかけて、それぞれ前年の1・5倍と2倍に達し、3月11日の東日本大震災後も両国は偵察飛行や挑発を繰り返しており、被災地支援に10万人を投入している自衛隊は、苦しい“二正面作戦”を強いられたのです。
日本が弱った時に、揺さぶりをかけるのが、周辺国です。
厳しい目線でみれば、我が国は辞意を表明した総理がグレーゾーン事態対処する権力があるのか、という状況です。
赤池誠章参議院議員が次のように指摘されていました。私も同感です。
「先週中共が南シナ海で中距離弾道ミサイルを発射した通り、我が国周辺の大変厳しい安全保障環境は、最高司令官である総理の不在を許さない。今は平時ではなく、有事だと思う。」
その2.自然災害の観点
非常に大型の台風10号とみられる低気圧が週末にかけて日本の南で急速に発達し、6日(日)から7日(月)にかけて、西日本を北上する計算です。
これはあくまでも種々の計算の中の一つですが、この他の多くの計算が週末から週明けにかけて、本州付近に接近、あるいは上陸するようなコースを予想し始めています。
欧米の予測データによると、925hpa 最大瞬間風速70M近くで四国上陸予想となっています。 9月6~7日ごろに伊勢湾台風など歴史的な勢力で西日本を直撃する進路と予想されています。

日本は自然災害が多発する国家ですが、まさかこのタイミングで、伊勢湾台風並みの大型台風が発生すると予想されました。
自然災害に対して、内閣総理大臣は当然ながら指揮を取らなければなりません。
前記の安全保障上の理由と重なりますが、重要な決定をする権力が、辞任表明をした総理にあるのかどうか、危機管理上の問題になります。
その3、安倍総理の発言から
安倍総理は辞任表明の記者会見にて、健康は「予断を許さない」と自ら発言しています。
安倍総理の記者会見を引用します。
「政治においては、最も重要なことは結果を出すことである。私は、政権発足以来、そう申し上げ、この7年8か月、結果を出すために全身全霊を傾けてまいりました。病気と治療を抱え、体力が万全でないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません。国民の皆様の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断いたしました。」
「これから9月に人事があり、そして、国会を開会していくという中において、これが継続的にずっと間違いなく善くなっていくという保証はない中において、ある程度、この投薬が終了して、大丈夫ですとなれば別なのですが、その過程にあるという中において、正にコロナ禍の中において、政治的空白を生み出さないようにする上においては、このタイミングで辞任するしかないという判断をいたしました。」
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0828kaiken.html
時間の猶予をかけるべきではないという状況だと、私は読み取りました。
以上が、危機管理の観点から一日も早く自民党総裁を決めるべき、という私の主張です。
今は平時ではなく、グレーゾーンの緊急時です。平時の理論に固執するべきではありません。
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