「汚染水と処理水は違う」
「汚染水の海洋放出と言い続けることは、風評被害を生み出す」
…残念ながら、あえて混同させて印象操作をするメディアがあります。その筆頭が朝日新聞です。
これまでも朝日新聞は福島県に対する風評被害を広げる報道を続けてきました。
特に、東京電力福島第1原発のALPS処理水については、今でも「処理済み汚染水」という独自の用語を使っています。原発にたまる汚染水を多核種除去設備(ALPS)で処理した水は「処理水」であり、汚染水ではありません。
朝日新聞は10月9日の記事でも「東京電力福島第一原発にたまる処理済み汚染水の処分方法について」と意図的に汚染水と処理水を混同しています。
処理水を意図的に「汚染水」と言うのは朝日新聞と日本共産党または反原発活動家だけかと思い、調べてみたところ毎日新聞、東京新聞でも汚染水という言葉を使っていました。
ALPS処理水の処分方法については、10月10日に福島民友の「処理水方針、海洋放出へ『最終調整』意見聴取の終了示唆」をきっかけに、10月16日には時事通信、共同通信など中央のメディアが「政府は処理水の海洋に放出する方針を固めた」と報じています。
東電の計画では、早ければ2022年夏にも原発敷地内のタンクで保管できる容量に達する見込みです。処分の準備には2年程度かかるため、今年の秋にも処分方針が決定されるのではという見方が出ていました。
ついに菅義偉政権によってALPS処理水の処分方法が決定されます。最大の課題は風評対策です。
海洋放出に強く反対する全漁連や県漁連は「処理水が海洋放出されれば、風評被害は必至だ」と訴えています。また、福島県内44市町村議会では処理水の処分方針について決議や意見書を可決していますが、そのほとんどが「風評拡大を懸念」する内容です。
つまり「処理水が危険だから反対」という主張ではなく、「処理水が危険だと世間が誤解をしているため、風評被害が拡大するから反対」という主張です。両者は全く意味が違いますが、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞などのマスメディアは意図的に両者を混ぜて報道することで印象操作をしています。こうした報道は政府による海洋放出の方針決定後はさらに増えていくでしょう。
これまでALPS処理水を巡る議論の中で、朝日新聞を筆頭とするメディアは、「科学を振りかざすだけではなく」と、感情を優先して客観的かつ科学的な事実を無視してきました。
県内在住のフリーライター林智裕氏はこうした朝日新聞の姿勢について、客観的事実に耳を塞ぎ続け、こうした自然な感情に過剰に「寄り添う」ことは、不当な差別や風評の正当化と固定化につながりかねない危険なものと、厳しく批判しています。
原発「処理水」を、なぜマスコミは「汚染水」と呼び続けたのか 林 智裕
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67575?page=2
ALPS処理水を巡る報道、伝承館の語り部に関する報道、そしてこれまでの原発事故と福島県に関する朝日新聞の報道は「地元住民による国と東電の批判ありき」の内容ばかりでした。その報道姿勢に沿わない場合は原発事故の被災地である福島県であっても、一方的に批判してきたのが朝日新聞を筆頭とするマスコミです。
来年は震災と原発事故から10年という節目の年です。この機会に、報道による「風評拡大」についても「総括」すべきではないでしょうか。
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